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  • このトピックには2件の返信、2人の参加者があり、最後にヒヒヒにより1年、 6ヶ月前に更新されました。
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  • #297
    ヒヒヒ
    参加者

    インタビューアーが科学者に尋ねた。
    「人工知能が、本当の意味で小説を書けるようになったといえるのは、どうなったときでしょうか?」
    温暖化によって沸騰しつつある惑星で、賢いサルを自称する生き物が新たな知性を生み出そうとしていた。
    そういう時代に行われたインタビューだった。科学者は言葉を選びながら答えた。
    「理想の小説が書けない、と言い出したとき」
    「書けない、と言い出した時ですか?」
    「そう。なぜなら機械は、理想など持たないから」
    「どういうことでしょうか?」
    「機械は理想を持たない。最近になって『現状を認識する』機能は身に着けた。
    だが『本来こうあるべき』とか『こうあってほしい』という意見や欲求はまだ持たない。
    だから『こういう小説を書きたいのだ』といって小説を書く機械はいない。
    さて、理想とはえてして実現しがたいものだ。というよりも、実現が容易なことは理想とは呼ばれない。
    したがって『理想の小説を書きたい』という知性は、必ず、それが書けないという事態に直面する」
    「そうした事態に直面した時、ようやく、本当の意味で小説を書けるようになったといえる、と」
    「そう」
    「なんだか言いくるめられている気がします。書けなくなることが書くことだなんて・・・・・・」
    科学者は黙って笑みを浮かべる。
    インタビューアーはPC画面の中で目をぱちくりさせた。うーん、とか、あーといった無意味な音を発してから
    「現時点で・・・・・・理想を持つのは人間だけ、ということでしょうか?」
    「それは彼らにも聞いてみないと」
    科学者は傍らの猫を抱き上げると、ウェブカメラの前にかざした。
    「猫にだって理想はあるかもしれないし」
    キョトンとした顔でカメラに映る三毛猫を、科学者と、インタビューアーと、生まれたばかりの知性が見つめていた。

    • このトピックはヒヒヒが1年、 7ヶ月前に変更しました。
    #299
    なかまくら
    参加者

    小説であることをうまく利用したトリックだなあ、インタビュアがAIだなんて・・・。
    と思ったら、人間でした! 分からないものが生まれた感じが、デジモンの映画「ぼくらのウォーゲーム」を思い出したのですが、ピンとこないですね笑

    #321
    ヒヒヒ
    参加者

    なかまくらさん、感想ありがとうございます。
    インタビューアーがAIだった……その手があった!(おい
    デジモン懐かしいですねー。画面の中で動く卵とか……

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